
多摩ニュータウン
エステート鶴牧4・5住宅
高齢者と若い世代の共生
主旨
鶴牧4・5住宅は、緑が豊かで、低層住宅が軒を並べ、車歩道分離により小学校・中学校には遊歩道で通学できる、「安心・安全」な環境の中にあります。そして、少子高齢化が進むにつれて、バブル期の物としてだけの「資産価値」とは違い、今の資産価値は「交換価値」(ハード面)と「使用価値」(ソフト面)に分けなければならない時代に入っていると思います。
まず住民にはそれぞれの生活があり、家庭があります。それらの人たちが、たまたま集合住宅に住んでいるというのが実態でしょう。
その辺りの区分を理解しないまま、みんなが住み続けなければならないという考え方には、かなり無理がきていると感じます。
しかし、それでも住民有志により「使用価値」を高めるため、「高齢者と若い世代が共生できる団地」「高齢者が終の棲家として安心に暮らせる団地」等を標榜し、現在努力中です。
まず手始めに、気楽に誰でも立ち寄れる場所を提供していきたいと思っています。これが意外に難しく苦労しておりますがー。
ゆくゆくは、独居のお宅の電球の交換や相談に乗れるまでいけばいいなと、夢を抱いています。
地道な努力の積み重ねになると思いますが、希望をもって邁進していきます。

みんなが楽しい団地
多摩で30代が急減した深刻な事情
東京都の人口動態を詳しく見ると、転入人口はさほど増えていない。それなのになぜ人口が増えたかというと、転出人口が減ったからである。転出人口が減った理由は、結婚、出産を機に郊外に家を買わなくても、都心で大量供給されたマンションなどを買うことが容易になったからである。
特に2000年代以降、千代田、中央、港などの都心3区で人口が大きく増えることになった。いわゆる「都心回帰」が起こったのである。
多摩市は、28歳から37歳の減少が激しい。ただし60代以上の減少は少ない。団塊世代など、最初にニュータウンに住んだ世代は、そこに定着しているのだが、その子どもの世代が出て行ってしまうのである。
すなわち、本来ニュータウンは30代の子育て世帯が多い地域だったはずだが、現在は逆に、子育て世代が少ない街となっているのだ。
ただし40代はあまり減っておらず、10代も増えているので、30代の時点で多摩市にいた(あるいは子どもの頃からずっといた)団塊ジュニアは、一定の定着を見せていると言えるようだ。
こうした状況を受けて、近年郊外の人口減少、高齢化、空き家の増加が問題になっている。それらの問題を解決するための対策はなかなか難しいが、私は、大きなコンセプトとして、郊外を都心に通勤する人々の家庭が住むベッドタウンとして規定するのをやめ、1つの独自の街として「都市化」することが重要だと考えている。
三浦 展 : 社会デザイン研究者
東洋経済より転載
